それなりに生活にも慣れてきたと思う。(相変わらずサンタクロースの訓練とやらは、体力勝負で1日が終わることには、疲れきってベットに倒れこんでいる日が続いてはいるけど)最初はよそよそしかった亜人達とも徐々に打ち解けてきたような気がしてる。島の住民の中でも特に濃いキャラは、洋服の仕立ての仕事をしているシェトラとか言う女だ。
この住民の人間は、どんな洋服を着ているのだろう。俺は亜人が洋服のデザインや民族衣装に興味が(だって尻尾が生えてる奴のズボンとか気になるじゃないか)あって、レイブ達の話では集落に仕立て屋があるという話を聞いたので行ってみると、そこには、尻尾がついた亜人の女がキンキンの耳障りな声で、
「あーーー!!もしかしてサンタの修行に来た子達って君のこと?ささっ、いろんなお話聞きたいからこっち来てお茶でも飲んで!!」
第一印象はもちろん「うぜぇ」の一言につきる。このウザさは俺の姉二葉に匹敵するウザさだ。物凄いこいつに付き合うと一生苦労しそうだ。
「ねぇねぇ君ってさ!!『こすぷれ』って知ってる?」
うはぁ、こいつ自己紹介もせずに用件から切り込みやがったしかも「コスプレ」だと!?この脈絡の無さは姉を彷彿とさせて凄く嫌だ。だが、この島に洋服のことについて興味を持ってくれる奴がいるのはこっちとしても興味深い、だから俺は彼女に俺が知る限りのコスプレの情報を提供してやった(言っとくけど断じて俺自身がコスプレイヤーだとかそういった人種の人間じゃないぞ!親父の仕事柄そういった情報は俺の耳にも入るということだ。だが、興味がないわけじゃない。うん。)
一通り俺の話を聞いてメモを取り終えた彼女は、
「あー自己紹介忘れてたー!!私シェトラ・エルポッドよろしくー。」
と慌てて自己紹介を始めた。今更かよ!!俺も自分の名を名乗ると、今度は少し申し訳なさそうな遠慮がちな表情を浮かべた。表情やテンションがころころ変わる女だなぁ…。
「……んでねもう一個お願いがあるんだけどいいかな?」
「話だけは聞いてやるよ。」
と俺が答えるとシェトラは
「アスラ、おいで。」
と人の名を呼んだ。シェトラの呼びかけに答えておそろおそる俺の目に表れた女の子の姿は亜人独特の特徴は目につかず、俺のような人間の姿をした少女だった。
「この子は妹のアスラよ。この子ぐらいの年齢になると私達みたいな姿になるんだけどね…成長が遅れてるのかな…?みんなこの子を避けるの。だからこの子も人見知りが強くって」
姉の後ろに隠れながら俺の顔を覗き込んだ少女は、瞳を潤ませながら今にも泣きそうな顔で俺にこう尋ねた。
「お兄ちゃんも…アスラみたいにいじめられたことあるの?」
そうだな……向こうに居たときは確かに金持ちのぼっちゃんだからとかいう理由で
ハブられたっけ……
「あぁ、そうだな……。」
「……一緒に遊んでくれる??」
本当ならガキのおもりなんてまっぴらゴメンと言いたいところだが、アスラには何か親近感のようなものを感じた。
------普通の人とは違う……人はそれを恐れ異端を排除しようとする。
そもそも普通ってなんなんだよ-------
これがきっかけで、シェトラやアスラが俺達のところへ頻繁に遊びに来るようになった。梢蘭とシェトラは年が近いこともあってすぐに親しい仲になった(面倒ごとが増えなければいいが…)アスラもナオキ、梢蘭とも慣れていったがレイブのおっさんは「おじちゃんこわい・・・」と怯えているようだった。まぁ見てくれはこわいよな…。俺もおっさん怖いわ。
そして、ライラには懐いているかというとライラは、普段は寝ていることが多く医者として行動してる時以外はほとんどないに等しい。のでアスラとの接触はあまりなかった。
それがある日アスラ達が帰る時に丁度ライラが目を覚まし、眠たそうな目をこすりながら、アスラのことをまじまじとみつめはじめた。
「この子…ちょっと診ていいかしら…。」
「…え?えぇ…構いませんけど」
シェトラもライラの突然の診察に思わず萎縮する、少しアスラも怯えているようだ。そんな2人にお構いなしにライラは診察をはじめた
「ちょっと口を、大きく開けて…………夜眠れないことってある?」
「あっ、さいきんちょっとねむれないの」
「ちょこっと、血を抜くからね痛いけど我慢して……」
一通りの検査を1人でてきぱき(途中でよろよろしてたが大丈夫か?あと血を抜くときの表情もなんかヤバかったぞ。)こなしてるあたりは、こいつもちゃんとした医者なんだろうなと妙に関心した。
「……シェトラさん。……妹のアスラさんは……ヴァンパイア症候群です……。亜人の第二成長期を迎える頃にはとアスラちゃんはヴァンパイアとして覚醒するでしょう。」
!!!!???この島にはそんな種族までいるのか!?人間の生き血を吸いまくることで恐れられてる吸血鬼、、、そんで、このアスラがヴァンパイアになると!?
そもそも病気なのか??一緒に聞いてた俺はただただ混乱するばかりだった。
さすがのシェトラもこの事実に、ただ呆然としてるようだ。
「妹が……そんな……でも、…じゃぁ……それが判別できるということは、あなたももしかして………。」
シェトラの言わんとしてることが俺にはわからなかった
「………そうです。私もヴァンパイアです。そうでなければ人間と一緒に生活を共にすることが許されるはずがありません。」
「わ、わたしてっきり、、でもそういえば……貴方はそうだったかもしれませんね…。
すいません…何を言ったらいいか…」
そういうとシェトラの目には涙が浮かんでいた。
まだ亜人と亜人達が住まう島サンタクロース島のことをほんの少ししか知らない俺には何が何やらさっぱりわからなかった。
この記事に対するコメント